掲載:2004年7月31日

鳥島のコロニー

新コロニー形成の現状と展望

 鳥島の北西斜面で1992-93年繁殖期に始められ、継続されている「新コロニー形成の人為的促進」計画(=「デコイ作戦」)は、11年目を迎えた昨年から、目標達成へ の新たな展望を獲得しました。2003-04年の繁殖期に、ここで1個の卵が生まれ、1羽のひなが巣立ちました。これまでに合計10個の卵が生まれ、7羽のひなが巣立ったので、繁殖成功率は70%になります。

  ここに定着しているつがいはまだ1組だけですが、訪れる鳥の数は昨年のシーズンから増えています。新コロニーへの定着傾向を強く示すと考えられる、日没時の滞在個体の数は、昨年4月には平均10.5羽(観察日数28日)、抱卵期の2003年12月上旬には12.7羽(7日)で、今年4月には14.3羽(24日)になりました(これらのうち、大部分は繁殖年齢に達していない若い鳥で、その数はそれぞれ、2003年春は平均9.6羽、 2003初冬11.7羽、 2004年春13.0羽でした)。

  近年、従来コロニーから毎年たくさんのひなが巣立ち、それらが成長して出生地に帰ってきたため、従来コロニーはしだいに込み合ってきました。
  その結果、そこでの混雑を避けて、繁殖前の若鳥たちが新コロニーに移ってきていると考えられます。今後も従来コロニーから巣立つひなの数が毎年どんどん増えるので、それらが若鳥となってもどってきた時、過密になった従来コロニーには住み着くことができず、新コロニーに移ってくるにちがいありません。ぼくが「デコイ作戦」を始める時に思い描いた構図にそって、ようやく動き始めました。
  これらの中から、数組の新しいつがいが形成されつつあり、婚約したと思われるつがいが巣のマウンドを造っています。盛んに求愛ダンスを繰り返しているつがいもいます。それらの新つがいが、2、3年のうちに営巣を開始するにちがいありません。そこで数組が繁殖するようになれば、新コロニーは確立します。従来コロニーから巣立つひなの数が増えた(これから毎年200羽以上)ことと、新コロニーへの若鳥の定着傾向から、これはもう時間の問題です!