文 : 習志野メディアセンターSTAFF
さて、今回も実験にチャレンジしました!
挑戦したのは「ミルククラウン」の撮影です。
「ミルククラウン」とは文字通り、平らな面に薄くのばしたミルク(牛乳)の液面にミルクをたらし、ミルクどうしの衝突した瞬間の形が王冠のように見える様のことをいいます。
『はねあがる液体の形には、雫の大きさや落下の勢いなどのほか、表面張力や粘性といった液体そのものの性質も関係しているらしい』1)です。
お水でも同じようにクラウンになっているそうですが、今回は初心者にも撮りやすいとされる、粘性の強いミルクを使用しました。
準備編
- ミルク(ヨーグルト、水、豆乳などでも可)
- スポイト
- アクリル板(ガラス板、お皿などでも可)
- 一眼レフデジタルカメラ
平らな面に、ミルクを薄くのばし、その上にスポイトを使用してミルクの液滴をたらし、ミルクが跳ねるタイミングに合わせて連写します。 詳細な解説は 撮影方法
ミルククラウンの直径は、約2cmと小さいため、撮影にはマクロレンズを使用しました。
カメラは一眼レフデジタルカメラ2台で行い、1台は三脚に固定、もう1台は手持ちで撮影しました。(三脚が1台しかなかった為)
いざ撮影!ミルククラウン崩壊(一眼レフVer.)
ミルククラウンが出来上がってから壊れるまでを追ってみました。
尚これらの写真は、撮影条件を変えて何度も撮り直したものの中から、崩壊過程の各段階に当てはまるものを抜き出して並べてあるため、つながりが多少不自然です。
▼ミルククラウンの最高点 |
▼ぶつかり合った衝撃に押し出されたミルクが、角状に伸び上がる |
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▼少しずつ膜が崩れて大きさが小さくなる |
▼衝撃がおさまり、だんだんと角が縮んでいく |
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▼膜から先に消えるので、クラウンの各頂点の玉が目立つ |
▼縮んでいく |
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▼クラウンの各頂点の玉が周辺に落下 |
▼最後に玉の部分が残って、落下 |
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▼周辺に落下した玉の衝撃が中心に集まっていく |
▼波紋になってひろがっておしまい |
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さぁもう一回たらしてみましょう!
おまけ
▼衝撃に押し出されて角ができる様子 |
▼衝撃の具合によっては角の先端からさらに玉がでてくる |
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コンパクトデジタルカメラで挑戦
しかし、一眼レフカメラなんてカメラ好きでないとなかなか持っていないものですよね。
というわけで、コンパクトカメラでも頑張れば撮影できるという情報を信じ、チャレンジしてみました。
コーヒー牛乳にしてみました!
撮影方法
- 撮影機材:一眼レフデジタルカメラ、レンズ、三脚
レンズはマクロレンズが望ましいですが、標準ズームレンズでもかまいません。ただし、マクロレンズでない場合は被写体に寄れないため、多少迫力が減じます。2000円程度で買えるクローズアップフィルターを使えば、安価なズームレンズでも擬似的にマクロレンズとして使えます。
- 撮影準備:
三脚にカメラを固定し、ピントは手動で設定します。カメラのシャッターモードを連写にし、しずくを落とし始めたらシャッターを連写します。
※ちょっとした注意点:記録速度の速いメディアを使わないと連写が途中で止まってしまいます。
- 撮影設定-1-:ノンフラッシュ
クラウンができるのはほんの一瞬のことなので、とにかくシャッタースピードを上げます。
また、絞りが開放状態だとピントの合う範囲が狭く、せっかく決定的瞬間を捉えることができても、クラウンがボケボケになってしまうので、絞りを絞りこみます。そして、これらの必要条件を満たす感度を設定します。撮影には十分な光量が必要なため、強力な照明で照らし出すか、よく晴れた日の日中に日の当たる窓際で行います。
参考設定:
シャッタースピード 1/1000-4000
絞り値 F12-22
ISO感度 800-3200
- 撮影設定-2-:フラッシュ
フラッシュを使って撮影を行う場合は、シャッタースピードは遅くてもかまいません。
フラッシュの光は何千分の一秒の間しか光っていないので、シャッタースピードが遅くてもフラッシュが当たった瞬間だけがフィルム(もしくはセンサー)に焼きつきます。絞りを絞るのはノンフラッシュ撮影の時と同様です。撮影は天候も時間も場所も気にせずに行えます。
ただし、マクロ撮影に対応した高速連続発光が可能なフラッシュを用意しなければ、決定的瞬間を捉えるには非常な根気がいると思います。
参考設定:
シャッタースピード 1-1/100(フラッシュの設定により適宜変更)
絞り値 F16-22
ISO感度 100
- 補足:
今回の実験ではノンフラッシュ方式で撮影を行いました。
一例として撮影機材・設定を紹介いたします。
カメラ本体:PENTAX istDS
使用レンズ:FA35mm F2
レンズオプション:Kenko MCクローズアップレンズNo.10
シャッタースピード:1/1250固定
絞り値:F22固定
ISO感度:3200固定
※近距離から撮影を行うため、ミルクのしぶきでカメラやレンズがミルクまみれになりました。微量なので壊れることはないですが、撮影後のカメラとレンズのケアには気をつけましょう。
[参考文献]
1)ガリレオ工房. "ミルククラウン:牛乳どうしの衝突がつくる純白の王冠".瞬間をとらえる. 大月書店, 2004, p. 2-3.
メディアセンターにお立ち寄りの際は、ぜひ、月刊マキシマム!をご覧くださいね!
展示期間は、2009年3月6日(金)までです。