文 : 習志野メディアセンターSTAFF
2008年 話題になった化学キーワード10
2008年も残すところあとわずか。
流行語大賞やレコード大賞など、年間のさまざまなランキングが発表される時期となりました。
雑誌『化学』12号の特集から「2008年に話題になった化学界のキーワード10」1)の各キーワードに関する資料の一部を集めてみました。
展示期間中も通常通り貸出が可能です。もし、読んでみたいと思った本が貸出中であれば、お気軽に予約をしてください。
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東京 : 集英社 2008.5.
【請求記号】491.11/Ha 1000567303 【配架場所】2階
iPS細胞はいったい何がすごいのか?
ヒトの体は約60兆個の細胞からできているという。
母親の体の中に存在するたったひとつの受精卵が、細胞分裂をくり返してヒトをつくりあげるのだ。
細胞は分裂をくり返しながら、最終的に約270種類のちがった機能をもった細胞に枝分かれし、皮膚や筋肉や神経、臓器などができあがっていく。
この分化は、動物では一方通行だ、と永らく考えられてきた。
ところがクローン羊「ドリー」の誕生(’96年)やES細胞の研究がすすみ、分化した細胞が「巻き戻る」ということが分かってきた。
そして’06年8月、京都大学の山中伸弥教授のチームは、世界で始めてマウスの皮膚細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作り出すことに成功し発表した。さらに’07年11月ヒトでも成功させ、その成果はまたたく間に世界中に伝えられた。山中教授のiPS細胞は、いったい何がすぐれているのだろうか?
iPS細胞とはどのようなものか、作成に成功した瞬間、そこに至るまでの道のりや今後の課題などについて、京都大学名誉教授の畑中正一氏との対談をまとめた1冊。
東京 : 平凡社 , 2008.7. - (平凡社新書 ; 431).
【請求記号】491.11/Ya 1000577658 【配架場所】2階
東京 : ニュートンプレス 2008.9. - (ニュートン別冊)(ニュートンムック).
【請求記号】491.11/Sa 1000576585 【配架場所】2階
みなさんは有機ELと聞いて何をイメージしますか? 私はかろうじてテレビのディスプレイが浮かんできました。 大型、大画面の液晶の方が優勢に感じてしまうテレビですが、ここへきて有機ELも注目をあびつつあるようです!
有機ELについて今年話題となったのは
などです。
地上デジタル放送の開始に向けて、テレビの買い替えを予定しているあなた。
これから買うなら有機EL?それとも液晶?
まずは有機ELについて学んでみましょう!
東京 : 日刊工業新聞社 , 2008.4. - (B&Tブックス ; . 今日からモノ知りシリーズ).
【請求記号】549.9/Mo 1000565851 【配架場所】2階
‘87年コダック社のタン博士の発表から20年あまりが経過した今、有機ELはどのようなところで使われているのだろうか?
携帯電話、薄型テレビ、携帯型音楽プレーヤーなどが製品化されているが、「明るい・薄い・色が鮮やか・エネルギーの高効率利用」といった特徴で、今後の発展がまだまだ期待できるといわれている。
「有機ELってなに?」「どうして光るの?」「どんな種類があるの?」といった仕組みや製造など基礎知識から今後の可能性や応用性について、図やグラフなどを用いて解説している。
東京 : 日刊工業新聞社 2003.1. - (Science and technology).
【請求記号】549.9/Yo 1000334969 【配架場所】2階
2008年は、産地偽装や消費期限の改ざんなど、私たちの生活「食の安全」を脅かすニュースが何度もかけめぐりました。
夏、中国で粉ミルクを飲んだ幼児が中毒を起こしたりしていることが明らかとなり、死亡者も出ました。 これはメラミンという毒性のある物質が混入していたことが原因です。 被害者は増え続け、6人が死亡、54,000人が中毒になったと伝えられています(10月7日付、中国合衆社報道)。 この粉ミルクを輸入していた香港、台湾にも影響は及びました。 また、日本とアメリカにおいても、アイスクリームや菓子の原料に中国製粉ミルクを使用していたため、メラミンが混入していることがわかり騒ぎとなりました。 新しい話題のため、書籍としてはメディアセンターには該当資料がなかったので、雑誌の特集記事(一部)をご紹介します。
[雑誌] 世界 778号 p.76-150
[雑誌] 栄養と料理 74巻1号 p.148-149
有機系太陽電池。化学オンチの私には聞きなれない言葉ですが、なぜ今注目されているのでしょうか?
今は懐かし福田元首相がホストを務め洞爺湖で開催されたサミット(洞爺湖サミット)で、2050年までに、CO2排出を50%逓減するという枠組みが合意されました。 これを実現するには化学資源に変わる新エネルギーの開発が不可欠で、なかでも本命とされているのが太陽電池です。その中でも有機系太陽電池は、軽量・安価・大面積化が可能な次世代太陽電池の有力候補となっています。 私たちにも他人事ではない課題である環境問題、太陽電池について学んでみませんか。
東京 : 日刊工業新聞社 , 2007.1. - (B&Tブックス ; . 今日からモノ知りシリーズ).
【請求記号】501.6/Sa 1000513554 【配架場所】2階
今年は石油高騰の影響もあり、身の回りのさまざまな製品が値上がりしました。 そこで石油に代わる新たな燃料として注目されたのがバイオ燃料です。 しかし、バイオ燃料のおもな原料となるトウモロコシやサトウキビなどは、私たちの食料でもあります。 それらが燃料として使用されることによって、トウモロコシそのものやトウモロコシ、サトウキビを使った加工品が手に入りにくくなり、価格上昇へとつながってしまいます。 そのため、食料と競合しない非食用のバイオマス資源からのバイオ燃料の製造が今注目されています。
東京 : 秀和システム , 2008.6. - (How-nual図解入門).
【請求記号】501.6/Ik 1000565752 【配架場所】2階
東京 : ダイヤモンド社 , 2008.5.
【請求記号】519/Oz 1000581197 【配架場所】2階
地球を取り巻く大気の動きと生きものたちのつながり
宇宙には数え切れないほどたくさんの星があるが、いまのところ生きものは発見されていない。
地球の兄弟星といわれる金星はとても暑く、また火星は逆にとても寒く、生き物が暮らせるような環境ではない。それは二つの星の大気はほとんどが二酸化炭素でできているからだ。
いまから46億年前、同じころできたよく似た三つの星、金星、火星、地球。しかし、地球だけが二酸化炭素がほとんどなく、私たちが今暮らしていられるのはナゼだろうか?
地球ではどうして二酸化炭素が減ったのか、いったいどこへ行ってしまったのか。
その二酸化炭素を含む「温室効果ガス」が再び増え続けたのは・・・・・。
それによって引き起こされている、シカやオオカミの増加、ハチや海の生き物たちの直面している危機など、ひいては私たちの危機につながる地球からのシグナルについて、身近な生きものたちの暮らしからひも解いている。
東京 : 日本放送出版協会 , 2008.2.
【請求記号】519/Nh 1000571388 【配架場所】2階
ドーピングと聞いて思い浮かぶもののひとつにスポーツ競技があります。 今年開催された北京オリンピックでも野球や重量挙げ、陸上競技などでドーピング陽性となった選手がいました。 日本の室伏選手はドーピング問題の処分で順位が繰り上がりメダルを獲得できました。 悪いこととは分かっているはずなのに、手を伸ばしてしまう魅惑の存在。 選手の運命を翻弄してしまうドーピングとはどのようなものなのでしょうか?
東京 : 講談社 , 2000.8. - (ブルーバックス ; B-1299).
【請求記号】ブルー490/Ta 1000199859 【配架場所】2階
超伝導とは「多くの金属,ある種の金属酸化物,一次元伝導性をもつ有機化合物などの物質において,直流電気抵抗が固有の転移温度以下で0となる現象」のことをいいます。 20世紀初頭に(水銀で)発見されて以来、さまざまな超伝導物質が見つかってきましたが、1980年代までは超伝導になる温度はゆるやかに上昇したあと、頭打ちになっていました。
ところが今年に入り、東京工業大学の細野秀雄教授らのグループが、新しい超伝導物質を発見しました。このブレークスルーにより「鉄」が脚光を浴びるようになりました。
超伝導体を含む有機伝導体について学んでみましょう。
東京 : 丸善 , 2003.6. - (シリーズ有機化学の探険).
【請求記号】549.8/Sa 1000360675・1000525822 【配架場所】2階
レアメタルとは何でしょうか?レアなメタル??
現在、学術的な定義はまだありません。極端にいえば、Fe(鉄), Al(アルミニウム), Cu(銅), Zn(亜鉛), Pb(鉛)以外はレアルメタルという捉え方もあります。
レアメタルを使用した機器のひとつに携帯電話があり、多くのレアメタルを含んでいますが、日本では使用済みの携帯電話の回収率が低く、せっかくのレアルメタル含有製品が廃棄物となるか、あるいは環境規制が厳しくない近隣国へ流れてしまっています。 鉱山資源を持たない日本にとって希少な元素資源であるレアメタルについて学んでみましょう。
東京 : 日刊工業新聞社 , 2008.7. (B&Tブックス ; . おもしろサイエンス).
【請求記号】560/Re 1000574697 【配架場所】2階
東京 : 講談社 , 1988.9. - (ブルーバックス ; B-744).
【請求記号】ブルー500/Yo 0001091610 【配架場所】2階閲覧室
「冷凍餃子事件」といえばピンと来る方も多いかもしれません。 メタミドホスは水によく溶ける有機リン系化合物で、海外では殺虫剤として使用している国もあります。 中国で農薬として使用され、輸入野菜や冷凍食品(の原材料)に多量の残留が検出され話題となりました。 安心、安全な食生活ともに、現在の日本の食のありかた(生産体制)などについても関心を向けてみてはどうでしょう。
[雑誌] 公衆衞生. 72巻11号 p.846-886. 2008
[雑誌] 食品衛生研究 58巻2号 p.21-26. 2008
1) 特集2, 2008年話題になった化学キーワード10. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 12-31.
2) 石井哲也. 特集, 2008年話題になった化学キーワード10: iPS細胞 : 将来の再生医療の鍵を握る技術. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 12-13.
3) 時任静士. 特集, 2008年話題になった化学キーワード10: 有機EL : 超高画質・超薄型有機ELテレビを期待して. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 14-15.
4) Anthony T. Tu. 特集, 2008年話題になった化学キーワード10: メラミン : 利益のために混入された危険物質. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 16-17.
5) 吉川暹. 特集, 2008年話題になった化学キーワード10: 有機系太陽電池 : 新エネルギー「本命」技術の世界動向. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 18-19.
6) 坂西欣也. 特集, 2008年話題になった化学キーワード10: バイオ燃料 : 食料と競合しない原料の利用を目指して. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 20-21.
7) 佐藤健太郎. 特集, 2008年話題になった化学キーワード10: 温室効果ガス : 化学的な性質を客観的に知りたい. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 22-23.
8) 植木眞琴. 特集, 2008年話題になった化学キーワード10: ドーピング薬 : スポーツで使用が懸念される薬剤とは?. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 24-25.
9) 青木秀夫. 特集, 2008年話題になった化学キーワード10: 鉄系超伝導体 : 「銅」を超えられるか?!「室温超伝導」をめざせ!!. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 26-27.
10) 中村崇. 特集, 2008年話題になった化学キーワード10: レアメタルと都市鉱山 : ハイテク機器に隠された希少な元素資源. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 28-29.
11) 宮本徹. 特集, 2008年話題になった化学キーワード10: メタミドホス : 農薬は、「薬」という化学物質. 化学. 2008, vol. 63, no. 12, p. 30-31.