本年の漢方フォーラムおよび薬草園一般公開は、2004年5月22日(土)東邦大学習志野キャンパスにおいて行われました。

漢方フォーラム

東邦大学薬学部S201講堂にて開催。当日は大勢の参加者が集まり、盛況の幕開けとなりました。

座長

植村栄三氏(ウチダ和漢薬)
田中まち子氏(みどり野薬局)
秋葉哲生氏(伝統医学研究会あきば病院・慶応大学医学部)

2004年度漢方フォーラム当日の様子

台所の漢方

二階堂保(東邦大学薬学部)

キク、ゴボウ、ショウガ、ゴマなど身近な食材を取り上げ、その薬草としての働きを写真とともに紹介。生まれた土地で収穫されたものを上手に食することで健康を維持し、未病を癒す「食医」であるようにと、日常の食の重要性を説いた。
大黄を求めて

伊藤敏雄(ウチダ和漢薬)

高地に自生する大黄を求めての四度の中国訪問を紹介。中国奥地の雄大な自然や人々とのコミュニケーション、大黄群生地での迫力ある写真を多数紹介。三度目の訪問でやっと自生地まで辿り着き自ら大黄を採取した感動を語った。
元気印おばあちゃんの漢方歴

田畑隆一郎(たばた関本薬局)

元気がよくて働き者のおばあちゃんへの15年間に渡る的確な処方と心温まる交流。年月を追って風邪やリュウマチなど、その時々の症状を挙げ、漢方処方と効果を紹介。おばあちゃんへの処方を通し、漢方薬処方における病気の捉え方、処方の考え方を解りやすく説いた。
高齢者医療と漢方-脳卒中の漢方治療を中心として-

木元 博之(齋藤病院)

脳梗塞での治療における漢方薬の優れた効果についてを、具体的な例と脳のMRT写真と共に紹介。実際に脳梗塞治療時に漢方薬を併用した場合の退院時の傷害の程度を、一般の治療法の場合と比較し、また“うつ”などの精神的な後遺症も含め漢方薬処方の有効性を示した。
生活習慣病と漢方-動脈硬化の漢方治療を目指して-

小菅 孝明 (東邦大学医学部・ベイサイドクリニック)

高脂血症と日本人の死亡率についての一般人の常識を覆すデータを提示。日本人に合わない欧米のデータを用いての生活習慣病の治療指針に疑問を投げかけ、日本人の動脈硬化を効果的に治療し、予防するために有効な漢方処方を紹介した。
高齢者の漢方治療-介護施設の現場から-

蓮村 幸兌 (愛全診療所)

豊富な症例を用い、高齢者医療の中での漢方薬の処方の実際を紹介。症状だけではなく、患者一人一人の体力や状況に応じたケアの重要性を説いた。また、高齢者への甘草の処方が低カリウム血症を引き起こす場合のあることを報告し、処方の実例を挙げ注意を喚起した。
 
講演会終了後東邦会館にて懇親会

薬草園一般公開

当日は小雨混じりの曇天というあまり恵まれた天候ではなかったにも関わらず、たくさんの来園者が訪れました。
【下写真】生薬部の部員が来園者について園内を案内し、薬草についての質問に答えています。

  

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