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薬草園の世界
東邦大学名誉教授
小池 一男

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No.003 ジャーマンカモミール

ジャーマンカモミール (キク科)
Matricaria chamomilla

  世界中で最も親しまれているハーブティーといえば何といってもジャーマンカモミールティーでしょう。

 イギリスの童話「ピーターラビット」のお話では、興奮して疲れた様子のピーターに母親ウサギが一杯のカモミールティーを作ってベットに運ぶ場面が描かれています。ジャーマンカモミールは胸やけ、胃炎、疝痛、生理痛、冷え症、不眠など幅広い薬効を示すため、どこの国でも「緑の薬箱」の定番ハーブになっています。

 主要成分としては消炎成分のカマズレンやα-ビサボロール、蒸留の際にカマズレンに変化するセスキテルペンラクトンのマトリシン、強力な鎮痙作用を発揮するフラボノイドのアピゲニンなどが知られています。わが国にも江戸時代にオランダやポルトガルから渡り、日本薬局方にも第7改正(1962年)まで収載されていました。

 なお、ジャーマンカモミールでアレルギーを起こすケースもありますが、一方では「本物の」ジャーマンカモミールではなく、近縁種を用いるために起こるといった指摘もされています。

Text by Shinichiro Hayashi @Green Flask Co.Ltd

 ※文章・写真は、グリーンフラスコの林真一郎先生の提供によるものです。