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薬草園の世界
東邦大学名誉教授
小池 一男

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No.002 フェンネル

フェンネル (セリ科)
Foeniculum vulgare

 セリ科のフェンネルは地中海沿岸の原産とされますが世界各地で生育し、メディカルハーブとして、また料理の分野に不可欠な香草として古くから用いられています。
 フェンネルは芳香性健胃剤として位置づけられ、消化を促すと共に駆風作用によって鼓腸(胃または腸管内にガスが充満する状態)や疝痛に用いられます。

 またフェンネルは鎮痙作用や去痰作用をもつため上気道カタルにも用いられます。
 こうした働きはセリ科のアニス(Pimpinella anisum)やキャラウェイ(Carum carvi)とも共通するため“AFC tea”として広く用いられ、こうした作用は3種に共通する精油成分であるトランスアネトール、エストラゴール(メチルカビコール)、フェンコンなどによるものと考えられています。

 フェンネルは催乳の目的にも用いられることがあり、また甘い風味を生かして矯味(*1)、矯臭(*2)を兼ねた鎮咳、去痰駆風剤としてドイツでは小児科でフェンネルシロップやフェンネルハニーなどの剤型で活用されています。

Text by Shinichiro Hayashi @Green Flask Co.Ltd

*1:読みは「きょうみ」。苦い薬物に添加して飲みやすくすること。
*2:読みは「きょうしゅう」。匂いのある薬物に添加して飲みやすくすること。

 ※文章・写真は、グリーンフラスコの林真一郎先生の提供によるものです。