掲載 2011年秋

こどもの心臓からおとなの心臓へ

学部6年 本多頼子

 私が卒業研究の場として薬物学教室を選んだきっかけは3つあります。

 1つ目は先生です。ひかる先生は、教授室にいるより実験部屋にいる時間が多いアクティブな先生です。時間を気にせず研究の相談に乗ってくれたり、一緒に研究室の壁や床をペンキで塗ってくれたります。行方先生は、歳も近く何でも相談でき、時に鋭い質問を投げかけてくることもありますが、一緒になって考えてくれ答えに導いてくれます。

 2つ目は先輩です。現在博士課程の先輩が2名います。実験技術はもちろん、知識もたくさん持っており、困ったときは助けてくれます。私達の研究室が行っている実験方法は取得するまで時間がかかり技術が必要となります。そんな時先輩達はささっとこなし、私達にアドバイスをくれます。先輩達がいるから私たちは研究を進めることが出来ていると言っても過言ではありません。今大学院生がいる研究室は多くありませんが、薬物学教室ならあと2年は先輩がいますよ!

 そして、3つ目は研究への取り組みです。私は、動物を使った研究室が希望でした。学内でも動物を使っている研究室はたくさんあります。せっかく、研究するなら何か残したい。夜中までガッツリやりたい。そう考えたときにこの薬物学教室に出会いました。一人一人の結果は少なくても、みんなで協力して一枚の論文を仕上げる。そして、実験をすればするほどいろいろな仕事の話が舞い込んできます。時に上手くデータが集まらないときもあります。しかしそこで諦めず取り組んだあとには達成感があります。そんな風に学生生活を満喫したいと思いこの薬物学教室を選びました。

 現在、約2年間この研究室にいますが、とっても楽しく充実している学生生活を送ることが出来ています。卒研発表が終わった今でも、研究を続け卒業までにさらなる結果を残したいと思い国試の勉強の合間をみて研究に取り組んでいます。薬物は夜中まで残らなきゃいけないんでしょ?なんか厳しいみたいだよ?さまざまな噂があります。けれどそれは個人のやる気次第だと思います。いやいや研究をやらされている人はいません。みんな、やりたくて研究をしています。やりたいって気持ちがあれば、できます。せっかく研究をするなら、しっかりやりたい!論文に載りたい!そんな人はぜひ薬物学教室へ!!

研究テーマについて

 私はマウスの心臓の発達変化の研究を行っています。マウスは遺伝子改変が容易なためトランスジェニック動物としても汎用され、一般に成体が用いられています。そんなマウスですが、他の哺乳動物を比べ変わり者でもあります。心臓に関しては、心拍数が人の約10倍である毎分600回であり、その早い心拍数に対応するため心室筋の興奮収縮機構に特徴があります。私はマウスの特徴的な心臓が出来上がっていく過程を知るため、未知の部分が多いマウスの胎生期心筋の電気生理学的性質を明らかにする研究を行いました。約2ミリの胎生期マウスの心臓にガラス微小電極法を用い活動電位の取得をしました。胎生期の心室筋では、まるでペースメーカー細胞の様な自発活動が頻繁に観察されましたが、胎生期後期には無くなります。さらに新生仔期にかけて活動電位持続時間の短縮がみられ、速い収縮弛緩が可能になります。心拍数の増大、心筋細胞の構造変化、興奮収縮機構の変化が相互に関連しながら起き、一歩ずつ大人の心臓へと近づいていきます。子どもから大人へ変化することは当たり前かもしれませんが、その変化の過程を詳細に追っていくことで心臓をより深く理解し、それぞれ発達段階の特徴を生かした実験系を確立することができるともいえます。これからの薬理学的研究の発展のためにもこのような基礎データ蓄積が大切であると私は考え、これからも研究に取り組んでいきたいと考えています。

マウス心室筋活動電位の発達変化


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