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東邦大学 薬学部薬物学教室  
田中 光 行方 衣由紀 M口正悟
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エホニジピン物語

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L型T型デュアルカルシウムチャネルブロッカーの発見と展開

難易度3

血管収縮とT型カルシウムチャネル

「腎微小循環におけるカルシウムチャネルの分布」 L型カルシウムチャネルは輸入細動脈にのみ存在しますが、T型カルシウムチャネルは輸入細動脈と輸出細動脈の両方に存在します。 T型カルシウムチャネルが血管平滑筋に分布していることは確認されており、T型カルシウムチャネル遮断薬のミベフラジルによって血管弛緩や血圧低下が観察されます (2) 。L型カルシウムチャネルを遮断する強さはニフェジピンがエホニジピンの30倍程度ですが (11) 、血管平滑筋を弛緩させる強さで比較するとその強さの違いは3倍程度に縮まります (9) 。この違いはエホニジピンのみがT型カルシウムチャネル阻害作用を有していることで説明できます。T型カルシウムチャネルはこのように全身血圧の維持に関与しているのみならず、より細かく見るとL型カルシウムチャネルとは異なった分布をしているようです。
 腎微小循環においてL型カルシウムチャネルが主として輸入細動脈に分布しているのに対してT型カルシウムチャネルは輸入細動脈、輸出細動脈の両方に分布していると報告されています。ニフェジピンなどL型カルシウムチャネルを選択的に遮断する薬剤が輸入細動脈のみを弛緩させるのに対して、T型カルシウムチャネル遮断作用を有するニッケル、ミベフラジルおよびエホニジピンは輸入細動脈と輸出細動脈を同程度拡張させることが明らかになっています (20) 。このことからT型カルシウムチャネル遮断作用を有する薬剤は糸球体内圧を上昇させることなく糸球体濾過量を増大させ、腎保護作用を有することが期待されます。事実、高血圧モデル動物や高血圧症患者さんでエホニジピン投与によりタンパク尿減少などの腎保護効果が確認されており、その程度はエナラプリルなどアンジオテンシン変換酵素阻害薬に匹敵するものでした (21)

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