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バーチャルラボラトリ 心筋−心臓は電気とカルシウムでイオン動いている!−
東邦大学 薬学部薬物学教室  
田中 光 行方 衣由紀 M口正悟
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心筋の普遍性と多様性

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心筋の発達変化

難易度2

電気的性質

細胞内カルシウムの制御

神経等による調節

成体の心臓は自律神経による制御を受けており、交感神経興奮により心拍数と収縮力が増大、副交感神経興奮により減少します。しかし、拍動を開始した直後の胎児期の心臓にはまだ自律神経は存在しておらず、発達に伴い徐々に神経支配が完成することがわかっています。不思議なことに、まだ神経の来ていない心筋でもノルアドレナリンやアセチルコリンなどの神経伝達物質に反応して、心臓の拍動数や収縮力が変化し得るのです。

胎児期には、発達に伴い中枢から神経線維が心臓を目指して延びてきて、心筋細胞付近に到達します。神経終末に伝達物質を合成する酵素が出現すると、ノルアドレナリンやアセチルコリンが合成されるようになり、徐々に蓄積していきます。伝達物質を放出する仕組みが出来た後に中枢から神経線維を通って電気信号が届くようになり、神経終末から伝達物質が放出されて心筋を調節するようになります。

多くの哺乳動物の心筋では、胎児期後半にまず副交感神経支配が進行し、交感神経支配は胎児期末期から出生後に発達するとされています。成体の心臓は自律神経以外にも様々な生理活性物質に対して反応することが知られていますが、胎児期には単純であった心臓が、発達に伴い徐々に複雑な制御を受けるようになると考えられます。

エネルギー確保の仕組み

自律神経

意思とは関係なく、体の各器官の必要に応じて働く神経。
交感神経系と副交感神経系からなる。

交感神経

緊張状態をつくる神経で、外界からの刺激や体の各器官の必要に応じて働く神経。
”闘争と逃走の神経”とも呼ばれている。

副交感神経

リラックス状態をつくる神経で、”栄養と休養の神経”とも呼ばれている。

交感神経と副交感神経による作用の特徴と比較
  交感神経 副交感神経
伝達物質 (注1) ノルアドレナリン (注2) アセチルコリン
体と精神 緊張 リラックス
瞳孔 大きく開く 小さくなる
呼吸 激しくなる 落ち着く
血圧 上昇 下降
心拍数 上昇 下降
胃散分泌 抑制 促進
発汗 促進 (注2) 抑制
唾液・涙分泌 抑制 促進

注1:節後線維から放出されるものを示す。神経節では交感神経−副交感神経ともにアセチルコリンが放出される。(図を参照してください)

注2:汗腺を支配している交感神経の伝達物質はアセチルコリンである。

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