温泉と微生物の関係-概要-

3.生命の進化の過程として考える

 ところで、生命を考える上でまず大切なのは「生命とは何か?」と言う疑問です。
最後に生命の定義を述べておきます;  

  1. 入れ物が必要。つまり外界と隔てる"うつわ"が必要です。生命の最小単位である細胞を考えた場合細胞膜が細胞内部と外を区別している事からもわかります。ヒトの体も何十兆個の細胞から成り立っていますが、皆さんにも体と外界との区別があるでしょ?
  2. 自己複製機能がある。つまり生物は自分の子孫を残すという機能がある。単細胞生物は2分裂し子孫を残すが、雄雌の有性生殖で子孫を残す生物もある。
  3. 自己維持機能(代謝機能)がある。つまり自分自身の体を維持するためには外から物質を取り込み(食物など)それを体の中でエネルギーにしていく機能があります。1日中寝ていても、運動をしていても体は動いているのでエネルギーを使っています。
  4. 進化する。自分の一生を考えた場合進化といった実感はありませんが、長い地球の歴史を考えた場合、生命は進化していることがわかります。

 これらの定義をふまえ、生命が誕生する以前の地球環境を考えた場合、生命を作る材料はどのようにしてどこに集められ、生命のもとが出来てきたのか?といったことも進化のひとつであったと考えるべきでしょう。

 

参考文献:

星野英一、松尾浩也、塩野 宏: 温泉法(六法全書平成3年度版、T・U) p1361 - 1362、 有斐閣、1991

Newton 別冊:進化からDNAへ(後日データーを送ります)教育社

柳川 弘志:熱水環境と生命の起源、温泉科学、45(3): 168 - 172、1997

Kushner D. J. : Mikrobial Life in Extreme Environments, p 1 - 465, Academic Press, 1978

Brock T. D. : Thermophilic Microorganisms and Life at Hight Temperature, p 1 - 465, Springer-Verlag, 1978

次へ