温泉と微生物の関係-概要-

1.熱水と生命の誕生

 現在、生命体として確認されている最古の生物の化石はラン藻の一種ではないかとされるもので、それは西オーストラリアの約35億年前の地層から発見されたものです。また、生物本体の化石は示されないまでも、グリーンランドの約38億年前の地層中の炭素は生物体由来のものではないかという研究発表がなされています。

 これらのことから推測すると、地球に原始生命が誕生したのは約40億年前後ではないかと推測されています。 ちょうどその頃、地球が冷え始め地殻や海が形成されだしたと考えられており、中央海嶺付近では地球内部の様々な情報を溶かし込んだ熱水が、あたかも煙突から黒い煙を噴き上げているかのごとく噴出している熱水噴出孔(ブラックスモーカー)が出現しました。

 この様な高熱、高圧環境の場で海水中にとけ込んだ無機塩類や金属イオン、ガスまたはその他の様々な物質から有機物が作られ、さらに"生命のもと"が作られたのではないかと考えられています。 これらのことは有名なミラーの実験や柳川氏の実験によって実証されています。
  また、実際に深海の熱水噴出孔付近を調べてみるとその周囲には微生物の大量発生やそれをえさにするエビやカニが大量に生息している姿が見られ、さらに生命体に有毒とされている硫化水素の硫黄を利用してエネルギーを作ることができる微生物を体内に共生させている生物もそこには生息しています。
  この様に、原始生命の誕生には熱水噴出孔が関与していたことは明らかであり、また現在でも熱水噴出孔付近には大量の生命が群れている事実からも熱水(温泉)と生命は切っても切り放せない関係にあることがおわかりになったことでしょう。

2.温泉とは?

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