34-ヒメコマツの葉の横断面

ヒメコマツ
Pinus parviflora Siebold et Zucc.
球果植物マツ目マツ科
採集地:高宕山 採集日2000年5月27日

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マツ属の中で、葉の横断面に2個の維管束があったら2葉松で、1個しかなかったら5葉松だよと植物形態学の実習で山内文先生(亘理俊次先生の高弟で植物解剖学者、東邦大学理学部の前身の理学専門学校の生物学科昭和18年の卒業生)に教わったのは大学2年生の時だった。構内にあったアカマツとクロマツの枝を採ってきて、単枝と長枝とを教わり、針葉を持って片刃のカミソリで薄く薄く切った。5葉松は近くのお寿司屋さんの庭先から枝を失敬してきた。2葉松の葉には裏面表面にも気孔があるけれども、5葉松では表面には気孔がないのだとも教わった。本図は千葉県生物学会が2000年5月27日にヒメコマツ緊急調査会時に採集した高宕山のヒメコマツの葉の断面である。気孔のある面をくっつけて5枚の葉が1組みになることがわかるだろうか。5枚の葉を組み合わせると1本の丸い葉ができあがる。表皮側に2個の樹脂道が見られ、維管束も木部が外側に、師部が内側に配置していることがわかる。ニワトコの髄にはさんでカミソリ刃をあててそうっと引いて薄い切片を作るのだがどうもうまく切れないものだった。山内先生は愛用のドイツ製のゾーリンゲンのカミソリで実に見事に超薄い切片を作るのだった。

東邦大学構内、体育館の裏にお稲荷さんが祭られている。そのそばに、司馬遼太郎の石碑があり、その一角にヒメコマツが植えられている。枝をとって見ると、5針葉が1本となる五葉松であることがわかる。みんな一度は行って見てごらん。

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