20-ワカメの体縦断面

ワカメ
Undaria pinnatifida (Harvey) Suringar
褐藻 コンブ目 アイヌワカメ科
採集地:岩手県下閉伊郡山田町田の浜荒神
採集日:1997年5月7日

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 ワカメは大きくなるのに、体の先端部分ではなく、茎の部分でさかんに細胞分裂を繰り返して成長します。これを介生成長といいます。ワカメは大きなものでは3mをこえます。大きな体を維持するために、細い根がしっかりと岩をつかむように発達し、海中でも立ち上がることができるように茎と中肋が発達しました。海中に到達した光を効率よく受けるために広く布のような葉を広げ、葉には切れ込みを入れて波の抵抗を減らしています。

陸上に生活する木や草には維管束があります。維管束は根から吸い上げた水を体の上部に運ぶ木部と、光合成で得た栄養物質を茎や根に運ぶ師部からできています。ワカメの体を切って、顕微鏡で観察すると、体の中央部に陸上植物の維管束の師部に見られるような師管(篩管)のようなラッパ状の形をした細胞が見られます。ラッパ状細胞のまわりには柔らかい細胞が取りまいており、これらの細胞も、光合成で得た栄養物質の移動に関わっているものと考えられます。このような体の作りはヒロメもアオワカメも、アラメも、カジメも同様で、コンブ科の仲間の共通した特徴です。

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