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東邦大学医学部付属大森病院 腎センター
相川 厚

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QandA

Q00.なぜ移殖をする必要があるのですか?

まず、腎移植の生存率が透析よりもすでに10-20%も高くなっているからです。

 加えて、生活の質が移植では高く、薬を飲むだけで、ほとんど健康なひとと同じように暮らせるからです。体の疲れ方も透析をしてたころより少なく、仕事や遊びも時間の制限なくできるようになります。透析中のかゆみもなく、食事制限も少なく、水分もたんぱく質も、そしてカリウムが豊富な野菜や果物も好きなだけ食べられます。

 血液透析では1週間に3回、少なくとも毎回2本づつ針を刺されていますが、その苦痛からも解放されます。腹膜透析のカテーテルもなくなり、温泉につかったり、水泳を楽しむこともできます。あの重い透析液のバッグを持ち歩くこともありません。長期間の旅行も薬さえ忘れなければ海外にだって行くことができます。

 医療費も移植をうけた最初の年は透析とほぼ同じですが、次の年から透析より安くなり、国全体の医療費の削減にも役立ちます。

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Q01.移殖手術がうまくいく確率はどれくらいですか?

一般のかたがたや患者さんは手術が直接原因となる死亡を恐れているのが常ですが、移植手術で直接命を落とした患者さんはまずいません。

 血管をつなぐ手術は問題ありませんが、2-3%の患者さんは膀胱と尿管をつなげるときに閉塞がおきたり、尿がもれたりすることがあります。このような場合は再手術が必要になることもあります。

 また2-3週間してリンパ液が腎臓の周りにたまり、尿管を圧迫することもあります。このような合併症も現在は内視鏡を用いて治すことができます。

 全般的に手術は95%以上は成功すると言ってよいでしょう。手術よりもむしろ感染症をはじめとする合併症のほうが問題です。

腎移植成績グラフ拡大
小児腎移植成績グラフ
(クリックで拡大画像)

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Q02.ずっと透析を受けていますが、移殖に問題はありますか?

最近では透析で20年経過された患者さんの腎移植成功例の報告もあり、透析期間が直接移植成績に影響を及ぼすことは少ないことがわかりました。

 しかし長期間透析を行うと、血管の石灰化、動脈硬化が強くなり、血管の手術をしにくいのは確かです。

 そして長期間の透析で腎性骨異栄養症、2次性副甲状腺機能亢進症により骨が弱くなりますが、さらに移植後免疫抑制剤としてステロイドを多量に投与すると大腿骨頭壊死などの合併症が出やすいでしょう。

 特に小児では長期間腹膜透析を維持すると硬化性腹膜炎になり、除水機能が悪くなり、拡張型心筋症と同じ形態のうっ血性心不全になり、移植直後の輸液管理がむずかしくなります。とはいっても移植ができないというわけではありません。

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Q03.どれくらいの年齢で移殖をすることが望ましいのですか?

小児の場合は年齢よりも体重です。体重が20kg以上あれば、比較的安全に移植ができます。小児科の先生はなんとか腹膜透析で20kgまで育ててそれから移植に移行できるようにしていただきたいと思います。

 しかし腹膜炎を繰り返したり、食欲がなく栄養状態が悪い場合はなかなか体が大きくならない場合もあります。当センターでは6.6kgの体重の幼児を母親から移植し成功した経験があり、これが日本における最小体重で成功した症例になっています。 

 成人の場合は一般的に年齢の制限はありませんが70歳以下が腎移植をうける基準となるでしょう。

移植者の年齢別割合

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Q04.移殖が困難な場合はありますか?

提供者に対して抗体(Tリンパ球に対する)をもっている場合は絶対に移植はできません。このような抗体は輸血をしたり、妊娠をしたりするとできる場合があります。普通はこの抗体も1年たてば約7-8割の患者はなくなって移植ができるようになりますが、移植後に非常に強い液性拒絶反応が早期にでることもあ り、注意が必要です。

 小児で困難な場合は小さいころからカテーテルを大腿部から入れられて、移植で使う腸骨静脈や下大静脈が閉塞している場合です。腎静脈はどこかの静脈につなげなければならず、移植前に静脈がふさがっていないか、どの静脈につなげられるか検討しておかなければなりません。 長期間透析を行うと尿がでなくなり、膀胱が萎縮して容量が小さくなります。この小さな膀胱に尿管をつなげるのはむずかしく、尿管が狭窄したり、逆流がおこったりすることがあります。このようなことがおこらないように萎縮した膀胱には尿管にステントという管をしばらく留置します。

 移植をうける患者さんは原則的に自分で管理できる能力がある場合にのみ受け入れられますが、小児ではそういうわけにはいきません。両親が薬をきちんと正確な量飲むように見守り、規則正しい生活をするように、清潔にするように指導しなければいけません。

 当センターでは目が見えない患児の腎移植を行い、成功した経験があります。 たしかに困難な場合は多々ありますが、なるべくいろいろな患者さんに移植の恩恵をうけていただくためにも適応を拡大して移植を行っています。

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Q05.手術前後の入院はどれくらいの期間になりますか?だいたいの目安を教えて下さい。

生体腎移植の場合は外来で簡単な血液検査を行いますが、詳しい術前検査は入院後になります。移植手術10~14日前には入院して、手術に備えます。

 献腎移植の場合は、連絡をうけたらすぐ入院し、検査を行い、手術に備えます。

 術後順調で腎機能が安定すれば1-2ヶ月で退院できます。入院期間は個々の患者さんの状態によって異なります。

 拒絶反応や感染症が出現した場合入院期間は病状によって長くなります。

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Q06.地元の担当医に透析をしないと移殖はできないと言われました。どうしてですか?

尿毒症の状態で移植するのは危険です。透析で安定してから、腎移植を受けるのが一般的です。

 しかし最近では特に小児で慢性腎不全の状態が続き、ひどい尿毒症になっていない場合は透析をせずに腎移植を行っています。

 これはプリエン プティブ移植と言って、透析を受けてから移植するより成績が良好であることが欧米の報告で明らかになりました。われわれの施設でも10年以上前から透析を経ない移植を行っており、生存率、生着率100%の成績を治めています。

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Q07.移殖が成功すると水泳やマラソンもできるのですか?

腎機能が安定すれば、水泳は比較的早期よりできます。

 移植後3ヶ月ごろには免疫抑制剤が維持量になります。また拒絶反応や感染症は同時期からはあまりおこりません。

 しかし透析による骨障害に免疫抑制剤のステロイドの副作用が相まって、骨は弱くなっています。特に荷重には弱く、重いものを持ったり、ジャンプしたり、骨に負担をかけるスポーツは避けたほうがよいでしょう。

 水泳は骨に負担がかからないため、早期からできるのです。マラソンはやはり骨に負担を しいるので、3ヶ月から少しづつトレーニングをはじめ、1年後に5−10kmぐらいまで走れるように徐々に鍛えていき ましょう。

 移植者スポーツ大会でも長距離走はありますがフルマラソンの42.195kmのような長距離はありません。

 ちなみに短距離走では世界移植者スポーツ大会記録は100m 11秒代、 200m、23秒代です。水泳選手はアメリカ、イギリス、オ ーストラリアでは正式なトレーナーがついて鍛えられています。 原則として移植者は格闘技はできませんが、球技などのスポーツはほとんど可能です。

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Q08.生体腎移植で腎臓を提供した人は、普通の生活を送れるのですか?

普通の生活が送れるようなかたでないと提供をお願いすることはありません。

 提供者(ドナー)になるにはいろいろな検査に合格しなければいけません。特に腎機能検査は大事です。腎臓ひとつになっても生涯腎不全にならない保障がない限りドナーにはなれません。

 当センターで腎不全になったドナーは今までひとりもおりません。

 米国ミネソタ大学から20年後のドナーの状態を、提供しなかった兄弟姉妹と比較した論文が出ております。20年たっても腎不全になったドナーはいませんでした。高血圧になったドナーはいますが、兄弟と比較して差はありませんでした。

 多少傷の痛み、神経痛が残ることはありますが、それ以外食事制限、運動制限、労働制限は一切ありません。

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Q09.母親(大人)の腎臓を小さな子供の体に移殖することに問題はないのですか?

体重が10kg以下の小児では母親の腎臓を移植するとおなかの中の半分は腎臓に占められます。

 小さな子供では腎動脈は直接大動脈に、腎静脈は直接下大静脈につなぐ必要があります。
 たくさんの輸液や輸血をして準備していなければ、血管をつなぎ終わったあと、移植した腎臓にたくさんの血液が流れこんで、血圧が下がり、腎臓が機能しないばかりか危険な状態に陥ります。
  さらに、大きな腎臓に子供の小さな心臓で血液を送り出さなければいけません。
 このような適切な術中管理は熟練した麻酔科の先生の協力によって行われます。

 ほとんどの腸は移植腎と反対側に寄ってしまいますがあまり問題になることはありません。

年齢別小児腎移植者数

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Q10.付き添いの家族が泊まれる施設などはありますか?

東邦大学付属大森病院では、特に入院の必要がある患児の家族の宿泊施設を病院向かい側の看護士寮の1階に設けており、1泊1000円で宿泊、入居できます。

 テレビ、風呂付で設備もよく、守衛さんも玄関に常駐していますので安全です。ただし部屋は数が限られているため、事前の予約が必要です。
 遠隔地から紹介されたこどもたちの家族は退院になるまで利用でき好評です。

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Q11.費用が心配です。手術にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?

費用は1ヶ月0〜6万円です。

 2人部屋希望をした場合では差額ベッド料金がかかりますが、公的な手続き(更生医療または小児の場合は育成医療)をしていれば料金はさほど かかりません。

 更生医療では所得に応じて自己負担があります。

  また育成医療では健康保険を使って治療した場合の自己負担額が助成されますが、それは所得に応じて助成されます。

 保険料金としては生体腎移植では同種腎移植術748,000円および移植用腎採取術 196,000円で計954,000円で献腎移植では748,000円に死体腎加算料700,000円を加算した1,448,000円です。

 公的な医療手続きをせず保険をもたない自由診療の場合は上記の金額を払わなければなりませんが、透析を行っている患者さんは通常更生医療または育成医療の手続きをしているはずです。

 提供者(ドナー)の費用はすべて移植患者の保険が適応さ れます。そのため1ヶ月にかかる自己負担額は、所得が多い方でも助成を受ければ約6万円以下です。 その後の免疫抑制療法を含める入院加療費も更生医療や育成医療から助成されます。

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Q12.小児腎移殖の場合に受けられる、国や自治体の補助制度があれば教えて下さい。

育成医療です。通常は住所がある自治体の保健所、保健センターに申請します。

育成医療では

    1. 育成医療申請書(保護者が記入)
    2. 育成医療意見書(担当医師が記入)
    3. 世帯調書(保護者が記入)
    4. 所得税額証明書や源泉徴収票など
    5. 保険証の写し

上述のような書類が必要となります。

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Q13.地元の病院で透析を受けています。大森病院の腎センターで診療を受けるにはどうしたらいいですか?

地元の病院の担当医の紹介状を持って来院してください。

 第3週目の土曜日以外午前中 (11:30までの受付)腎センターは外来を行っております。

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Q14.途中で担当医が何度も変わるのは嫌なのですが。

外来の担当医は通常変わりません。

 入院が必要な場合は主治医は順番性ですが、外来担当医を引き続き主治医として希望する場合は、外来でその旨を言っていただければ、入院でも同じ外来担当医が主治医になります。

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Q15.大学の付属病院ということですが、経験の浅いドクターが移殖手術をすることもあるのですか?

移植手術には外科的手技と泌尿器科手技を取得するための修練を行い、通常外科または 泌尿器科の専門医を取得する少なくとも6年以上の経験が必要です。
  移植手術は若い専門医の先生が執刀しても必ず指導医がつき、安全を第一に行っています。

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Q16.腎臓が悪いとどのような症状がでますか?

倦怠感、むくみ(浮腫)、体重の増加、尿量の減少、食欲不振、頭痛、はき気、下痢、 出血傾向、息苦しさ、不整脈、高血圧、手足のしびれ、意識障害、けいれんなど多種多様な症状がでます。

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Q17.腎臓の病気は遺伝ですか?

遺伝性の病気は多発性のう胞腎、アルポート症候群、IgA腎症の一部が代表的ですが、ほとんどの腎臓病は遺伝とは関係ありません。

 小児の先天奇形である低形成腎や膀胱尿管逆流症は遺伝したのではないかと心配になる両親(特に母親)がいますが、そのようなことは報告されていません。

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Q18.移殖以外に、薬や外科手術で治す方法はないのですか?

薬や外科手術で治せない慢性腎不全が移植の適応です。

 慢性腎不全は腎臓が萎縮して、もはや尿をつくる組織が破壊されてしまった状態で、再生はできず、透析や移植をしなければいずれ尿毒症で死んでしまいます。

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Q19.初診から移殖まで、どれくらいの期間がかかりますか?

生体腎移植では現在は約6ヶ月間の待機期間があります。 しかし緊急で移植が必要な患者さんや小児では優先して移植を行う場合があります。

 献腎移植ではHLA検査の予約が 1ヶ月以内ですので、この結果を記載し、登録料を振り込み、臓器移植ネットワークで登録 されるまで約1ヶ月はかかります。その後登録者にあう献腎情報があれば、いつでも移植を行いますが、献腎はいまだ少なく、待機期間は平均で約6年です。

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Q20.現在、移殖手術を待っている患者はどれくらいいますか?

生体腎移植は約10〜15人は待っています。外来で毎月3〜5人は移植の日程を決定 します。献腎移植で当腎センターを移植希望施設として登録されているのは約200人です

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