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東邦大学名誉教授
渡辺 恒夫
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客員教授特別講義概要(※終了しました)

 2007年度理学部客員教授の南博文先生(九州大学人間環境学研究院都市共生デザイン専攻:教授)による特別講義が以下の予定で開かれます。
基本的に生命圏環境科学科3年生コース科目「環境心理」の一環として行われますが、履修生でなくとも3年生以上なら聴講できますので、ふるって参加して下さい。

生命圏環境科学科

  • 担当:南 博文
    4回の講義を通して、環境心理学の中でも、相互浸透的(トランザクショナル)で生態学的(エコロジカル)な視点および方法論を中心に、環境心理学が環境デザインの実践につながる学であることを示していきたい。

  • 問合せ先:渡辺恒夫(5518研究室)

5/10(木):4限(5209教室) 環境心理学とは何か 〜 環境体験の世界への探求 〜

環境心理学は、人と環境との相互依存関係、相互作用を解明する科学であると定義されているが、その際の人と環境とはそもそも分けられるものなのか。環境体験において自己と環境とは、創発的に展開していく過程であり、両者の関係は相互浸透的であると見たほうが我々の経験に則していると考えられる。そのような自己と環境との関係を、「環境移行」の例に則して探求していく。

5/10(木):5限(5209教室) 環境の認知 〜 地図と現地 〜

直接体験される環境に対して、環境について知りえた事を表象したものとして地図がある。地図は現地ではない。両者の間には変換・変形関係があり、環境心理学の歴史の初期に「認知地図」のアイデアが提示され、実証研究が行われてきた事は、この主題の中に環境心理学の基本的な問題(パラダイム)が含まれている事を示唆する。認知心理学の進展と共に発展し、現在エコロジカルな視点の台頭によって批判的に見られてもいる認知地図の研究を通して、環境認知の現象を概観する。

5/11(金):1限(5207教室) 都市環境への環境 - 行動学的アプローチ 〜 エコロジカルな見方 〜

都市とはどのような環境なのか。過密・匿名性・刺激過多など都市環境の心理学が扱ってきた特性があり、その心理学的な知見も蓄積されているが、生きた都市、あるいは生きられる都市への視点として、2つの生態学的アプローチを取り上げる。一つは、Barkerらが進めた「行動場面」論を中心としたEco-Behavioralな科学であり、もう一つはGibsonらが進めた「アフォーダンス」論を中心として生態心理学の方向である。自分達が住み、利用する都市環境において、行動場面および環境のアフォーダンスを探索する実習課題を通して、両概念の本質をつかみ、都市環境を生態学的に理解するとはどのような事かを理解してほしい。

5/11(金):3限(5207教室) 場所との対話 〜 質的なアプローチ 〜

人間と環境との相互作用のメカニズムを解明する行動科学的なアプローチに対して、環境における個人あるいは集団・コミュニティの場所体験に定位し、そこでの体験の質・変容過程・意味づけを探っていく「質的」なアプローチによる相補的な理解の重要性が認識されるようになっている。質的なアプローチの要点は何か、それによって明らかにされる場所の特性とはどのようなものかを、「散歩」という日常的な行為を例にして理解を深めていきたい。


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