キャンパスの植物たち

東邦大学名誉教授  吉崎 誠

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キャンパスの植物達

毎日の道すがら、植物の名前をおぼえてしまおう

 JR津田沼駅から東邦大学へのバス道路、これは船橋市大神宮から、東金にいたる「東金街道(トウガネカイドウ)」です。東邦大学の前を東西に走る道は「軍隊通り」とよばれていました。今は「大学通り」です。京成大久保駅から日大へのまっすぐな道は、「大久保通り」です。決して“日大通り”ではありません。東邦大学前から大久保通りに抜ける斜めの道は「ピタゴラス通り」と呼びます。

  東邦大学習志野キャンパスの前を東西に走る道路、すなわち「大学通り」には、道の両側に街路樹が植えられています。これはエゴノキ科の「ハクウンボク」です。今年は例年にくらべて2週間ほど暖かくなるのが遅く、中にはコブシのように3週間も遅くに花を開いたものがありました。ハクウンボクもちょっと遅れて新葉を展開し、白い花を咲かせてくれました。大きな葉は基本的に3枚が組みになってひろがっています。花が咲いた後にのびる枝の葉は1枚で互生しています。葉の裏側には毛がはえて白く見えます。夏休みが終わって学生達がキャンパスに帰って来るころには、ドングリほどの大きな果実 をつけています。秋には、葉が落ち、果実も割れて中からつやのある黒い種子がのぞきます。

 日本大学生産工学部と習志野警察署を南北に走る道の街路樹はイチョウ科の「イチョウ」です。JR津田沼駅の北口から津田沼十字路への街路樹はクスノキ科の「クスノキ」です。街路樹は、夏には強い日差しをさえぎるように葉を拡げ、冬には落葉して日射しが路面にまで当たることを条件として植えられます。歩道も車道もコンクリートやアスファルトで固められ、道路端の小さな「植え枡(マス)」に植えられることから、乾燥に強く、排気ガスにも耐えてよく成長する樹が選ばれます。

 「植え枡」には春には白く小さな花をつけたアブラナ科のナズナと、やはり白く小さな花をつけたナデシコ科のハコベが生育しています。夏にはここに、ヒユ科のスベリヒユが生育します。道路端で、雨水だけがたよりのこんな小さな植え枡ですから、植えられた街路樹も、こんな所に出現する植物達も生き抜くことは大変なことでしょう。「植え枡」には特有の植物達を見ることができます。

 

植物名のおぼえ方

植物名のおぼえ方:○○○科の○○○○とおぼえましょう。

 そうですエゴノキ科のハクウンボクとおぼえてください。科の名前は家族とおぼえてください。

 学名は、世界中で通用します。ハクウンボクの学名はStyrax obassia Sieb. et Zucc. です。Styraxは属名(Genus)、obassiaは種小名(species eoithet)といいます。後ろの名前はこの植物に学名を付けた責任者の名前で、著者名(Auther name)といいます。すなわちゴットファーザーですね。

 エゴノキの学名はStyrax japonica Sieb. et Zucc.です。ハクウンボクと属名は同じですね。

 属名は姓、種小名は名前と思って下さい。属名はラテン語で記載されます。属名は形容詞、男性、一格に統一され、種小名は属名と同一の性と同一の格で扱われるのが原則です。属名のStyraxはstorax(安息香)を産出する樹木の古代ギリシャ語名をとったものです。

 ハクウンボクエゴノキも花はとてもよい安息香酸の香りがします。obassiaはこの木をオオバチシヤということに由来します。著者名のSieb.は幕末に日本にきたシーボルトのことで、彼が帰国後にZuccariniと共に記載したものです。

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▲イチョウ

 

▲エゴノキ

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