掲載:2013年6月18日

第110回鳥島オキノタユウ調査報告

379羽のひなが巣立ち、鳥島集団の総個体数は推定で約3,220羽に

 2013年4月4日から5月7日まで、第110回鳥島オキノタユウ(=アホウドリ)調査を行ないました。その調査結果の概要を報告します。

巣立ちひな数と繁殖成功率

2012年11月下旬から12月中旬に行なった第109回調査で、産卵数(=繁殖つがい数)を調査し、今回、ひなに足環標識を装着して巣立ちひな数を確定しました。表1に2012-13年期の繁殖状況をまとめました。

表1 2012-13年繁殖期の産卵数、巣立ちひな数、繁殖成功率
区域 産卵数 巣立ちひな数 繁殖成功率(%)
従来コロニー
西地区
303
212
70.0%
東地区
109
84
77.1%
小計
412
296
71.8%
新コロニー
燕崎崖上
4
3
75.0%
北西斜面
122
80
65.6%
鳥島全体
538
379
70.4%

 鳥島燕崎斜面の従来コロニー西地区では70.0%(昨年比+3.3%)、東地区では77.1%(昨年比+3.9%)、従来コロニー全体では71.8%(昨年比+3.6%)で、巣立ちひな数は昨年より21羽も増えました。

▼写真1 従来コロニー西地区(2013年4月27日)

北西斜面の新コロニー

 北西斜面の新コロニーでは、繁殖成功率が65.6%で、昨年より5.0%も低く、2004-05年繁殖期に新コロニーが確立して以来、最も低くなりました。その結果、巣立ちひな数は80羽で、昨年(第108回調査)の「130組のつがいが産卵し90?100羽のひなが巣立つ」という予想は外れました。この低い繁殖成功率が今年だけのことであるのか、今後、見極める必要があります。

▼写真2 北西斜面の新コロニー(2013年4月24日)

密集した従来コロニー西地区

 今シーズン、鳥島全体での繁殖成功率は70.4%(昨年比+1.5%)で、巣立ちひな数は379羽(昨年比+26羽)でした。これは近年の最高数です。

鳥島集団の推定総個体数と今後の予測

 今繁殖期直後の鳥島集団の総個体数は、7歳以上の成鳥が推定1,318羽、1歳から6歳までの若齢個体が推定1,523羽、今シーズンに巣立った幼鳥は379羽で、それらを合計して約3,220羽になりました。
 来シーズンの繁殖つがい数は約580組と予測され、繁殖成功率が最近5年間の平均である70%に維持されれば、巣立ちひな数は406羽となります。そして繁殖期後の鳥島集団の総個体数は約3,475羽になるでしょう。また、今年巣立った幼鳥が繁殖年齢を迎える2019年11-12月には、約950組のつがいが産卵するにちがいなく、その次の繁殖期の2020年11-12月には繁殖つがい数が確実に1000組を超えるでしょう。

 


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