観察個体数、とくに繁殖年齢前の若鳥の増加にともなって、新コロニーで観察されるアホウドリの数が2003年の3-4月には急増しました。
つぎの表3に、新コロニー形成計画が始められてから最近までの観察結果を示します。
夕方、日没時に観察されたアホウドリは、新コロニーに住み着こうとしていると考えられます(このうちの大部分は夜を新コロニーで過ごす)。
この数は、音声放送装置やデコイの配置を改良したシーズン(1994、1995、1999年)には増加しましたが、その後は減少しました。これは、アホウドリたちが変化のないデコイ配置や放送音声に慣れてしまって、新コロニーに好奇心を示さなくなったためだろうと推測されます。
調査年
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平均個体数
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標準偏差
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最小
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最大
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調査日数
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ひな数*
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新つがい形成**
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1993
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0.00
|
-
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0
|
0
|
23
|
0
|
0
|
1994#
|
0.90
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1.28
|
0
|
3
|
10
|
0
|
0
|
1995#
|
4.05
|
2.40
|
0
|
8
|
22
|
0
|
1
|
1996
|
4.00
|
2.78
|
0
|
10
|
31
|
1
|
1 |
1997
|
1.03
|
1.12
|
0
|
5
|
29
|
0
|
0
|
1998
|
1.76
|
2.11
|
0
|
8
|
29
|
1
|
0
|
1999#
|
3.92
|
2.26
|
1
|
10
|
26
|
1
|
0
|
2000
|
1.59
|
1.37
|
0
|
5
|
17
|
1
|
0
|
2001
|
2.40
|
1.35
|
1
|
5
|
15
|
1
|
0
|
2002
|
2.24
|
1.54
|
0
|
6
|
25
|
0
|
0
|
2003
|
10.48
|
4.32
|
3
|
18
|
28
|
1
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?
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* 新コロニーで育てられていたひなの数
** アホウドリはつがい形成をしたつぎのシーズンに営巣・産卵し、このシーズン に新たに“婚約”したつがいの組数を示す(表1参照)
# 音声放送装置やデコイ配置の改良が行なわれた年
しかし、2003年には特別な工夫をしなかったにもかかわらず、日没時の観察個体数が10.5羽に飛躍的に増加しました。これはたぶん、帰ってきた若鳥の数が増えたため、従来コロニーが混雑してきて、若鳥たちがそこから“押し出された”ためではないかと考えられます。
ぼくは当初から、従来コロニーでひなを増産して、それらが成長して鳥島に帰ってきたとき、地滑りの起らない安全な新コロニーに誘引し、そこに定着させようと目論んできました。
ようやく、その図式に沿って新コロニーへの定着が始まりかけていると、ぼくは考えています。
これまで7年間、新コロニーにはたった1組(雌:緑103、雄:橙080)しか営巣・産卵しませんでした。
そのため、つがいの一方が死亡すれば営巣つがいが消滅し、新コロニー形成は停滞し、場合によっては後退するかもしれないと懸念されてきました。
しかし、2003年には平均して10羽ほどの若鳥が新コロニーを訪れ、盛んに求愛行動を繰り返していたことや、今後も全体として若鳥の数が増えつづけることから、第2組目、第3組目のつがいが形成されるのは、時間の問題だと思われます。
かつて新つがいが形成された1995年と1996年には、日没時に観察された平均の個体数が約4羽でした。それが10羽以上になったのですから、数年以内に新つがいが形成されるのは確実です。そして、数組のつがいが営巣するようになり、新コロニーが確立します。
ぼくは今からそれを期待しています。
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