掲載:2008年9月27日

アホウドリ再生チーム会合

アメリカアホウドリ再生チーム第1回会合

第1回会合の報告〜『オキノタユウ通信』第8号(2003年2月15日発行)から転載

アホウドリは、アメリカ合衆国の「生物種保存法(Endangered Species Act, 1973)」の絶滅危惧種(Endangered Species)として、2000年8月1日付けの連邦政府発行の官報(Federal Register)に記載され、さきごろこの種の再生基本計画(RecoveryPlan)を策定するための会議(Short-Tailed Albatross Recovery Team [この頭文字をとって略称START]の第1回会合)が、ハワイ州カウアイ島の北端、ハエナで開催された(2002年11月11〜14日)。

絶滅危惧種に指定されてから30カ月以内に、対象種の再生基本計画を作成することが法律によって義務づけられていて、第1回会合は、「日米海鳥シンポジウム・ワークショップ」にあわせて開催される予定であった(2001年10月に予定されていた)。

しかし、その年の9月11日にアメリカで“同時多発テロ”が起こり、急遽、シンポジウムが中止されたため、2002年に延期されていた。 この会議の目的は、「アホウドリ再生基本計画」について包括的に議論することで、さまざまな分野の専門家13人(以下に示す)が集まり、毎日朝8時から昼食の休憩(2時間)をはさんで、夕方18時まで、さまざまな問題が徹底的に議論された。

STARTのアメリカ側の参加者は、

Greg Balogh START責任者(アメリカ連邦政府魚類野生生物局・アンカレッジ野外調査室、絶滅危惧種専門官)

Paul Sievert  集団のモデル化(マサチューセッツ大学)

Kim Rivera 漁業による海鳥の混獲(アメリカ海洋漁業局)

Kathy Kuletz アラスカ非狩猟渡り鳥企画調整官(アメリカ連邦政府魚類野生生物局・アラスカ研究センター)

Beth Flint 北西ハワイ諸島国立野生生物保護区管理責任者(アメリカ連邦政府魚類野生生物局・ホノルル事務所)

Ed Melvin 延縄漁業による海鳥の混獲回避・軽減措置の現場研究(ワシントン大学海洋諮問委員会・海洋漁業専門家)

Kim Trust 有害物質による海洋生物の汚染(アメリカ連邦政府魚類野生生物局・アンカレジ野外調査室)

Thorn Smith 北太平洋延縄漁業協会事務局長(ワシントン州シアトル)

Rob Suryan アホウドリの渡り経路の衛星追跡研究(オレゴン州立大学)

Judy Jacobs 「再生基本計画」作成指針の説明(アメリカ連邦政府魚類野生生物局)

チームのメンバーの Graham Robertson オーストラリア南極局(タスマニア州キングストン)  は南アメリカ先端の沖にある島でチリとの共同研究に従事していたため、欠席した。

日本側のメンバーは、環境省のアホウドリ分科会の委員全員が加わっていて、

樋口広芳(東京大学大学院農学生命科学研究科・教授)

小城春雄(北海道大学大学院水産学研究科・教授)

佐藤文男(山階鳥類研究所標識室・研究員)

長谷川 博(東邦大学理学部・助教授)

しかし、長谷川以外の日本側メンバーはだれも都合がつかなかったため、かわりに山階鳥類研究所から尾崎清明、百瀬邦和の2名がオブサーバーとしてこの会合に参加した。

 この会議で、保護の最終目標をつぎの3点に置くことが合意された:  

1)アホウドリが3地域(火山島の鳥島と非火山島の尖閣諸島に加えて、小笠原諸島かミッドウェー環礁)で繁殖し、  

2)繁殖つがい数は合計1000組以上となり、  

3)各繁殖集団の個体数が増加傾向にある。

この会議で議論された「再生基本計画」は今後1年以内にまとめられる(同時にその日本語版も作られる予定)。今後、アメリカ連邦政府はこの計画に沿ってアホウドリ保護を積極的に推進・展開するにちがいない。アホウドリは、再発見から半世紀たってようやく「国際協力による保護」を受けるようになった。また、長谷川がアホウドリの保護研究に着手してから27年目にして、ようやく国際的協力によるアホウドリ保護体制が整った。これで、個人がアホウドリの保護に関わる時代は終った。

 

(補記)

『オキノタユウ通信』第8号の原文では、Plan を単に「計画」と翻訳したが、Project や Program と区別するために、ここでは「基本計画」に改めた。

 

「アホウドリ再生チーム」会合報告