掲載:2008年9月8日

アホウドリ野外識別ガイド   写真・解説:長谷川博  協力:大江千尋、堀越雅晴

アホウドリ野外識別ガイド

まえがき

 北太平洋には3種のアホウドリ類が生息しています。それらのうち、クロアシアホウドリ(全身が黒褐色)とコアホウドリ(胴体が白色)では、羽衣やくちばし、足など体の色は成長にともなってわずかしか変化しません。それに対して、アホウドリは、ほぼ黒褐色の幼鳥から白黒まだらの若い鳥を経て全体に白色の成鳥になるまで、成長にともなって体の色が大きく変化します。そのため、はじめて海上でアホウドリ類を観察したとき、アホウドリの幼鳥とクロアシアホウドリ、アホウドリの成鳥とコアホウドリの識別に混乱を生じるおそれがあります。  こうした混乱を減らし、アホウドリ類を正しく識別するために、とくにアホウドリの写真を多用して、この「野外識別ガイド」をまとめました。

使用法

 全部で4ページ(注を除く)なので、1・2ページと3・4ページを表・裏に印刷して、2・3ページが見開きになるように2枚をつなぎあわせ、全体をラミネートでコートして耐水処理をすれば、海上で使いやすくなります。

→印刷用PDFファイル

観察記録

海上でアホウドリを観察した場合、

 1)観察年月日と時刻

 2)観察位置(緯度経度、あるいは海域の名称と目標となる地点からの方向と距離)

 3)観察個体数と年齢階級(くちばしや足の色、羽衣の色彩パターンなどから判断する)

 4)天気と風向・風力、海の状態(波浪や海水面温度など)

 5)船からの鳥までの距離

 6)観察個体の行動(単独か群れか、飛翔中だったか、水面に浮いていたか、採食中であったか、など)

 7)周囲で観察された海鳥類の種とおおまかな個体数

 8)足環標識の有無(近距離で観察したとき、確認できたかどうか)

 9)記録画像の有無

 10)そのほか気づいたこと

 11)同時に確認した人の氏名

などを、できるかぎり記録してください。  

観察情報の蓄積

 上記の観察記録を(必要最小限の情報でもかまわない)、観察者の名前と住所・連絡先とともに、バーチャルラボラトリを通じて長谷川博あてに連絡してくだされば、それら情報をウェブサイトにファイルし(画像を含めて)、みなさんの閲覧に供します。(→問い合わせフォーム

 アホウドリの個体数の増加にともない(2008年現在、鳥島集団は約2100羽、尖閣諸島集団は約400羽、合計およそ2500羽で、今後、年率約7.5%で増加すると期待される)、アホウドリの海洋分布域は拡大して行くと考えられます。その状況をたくさんの人びとの目で追跡することができれば、きっと楽しいでしょう。とくに、アホウドリの観察記録が望まれるのは、尖閣諸島集団の行動範囲と想定される東シナ海や南西諸島近海、九州西岸の沖、かつて生息していた九州北部沖から対馬海峡、本州の日本海沿岸海域、北海道の日本海沿岸海域、などです。

 

 

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