
人口の高齢化が進む中で、80歳、90歳を越えてなお頭脳明晰で肉体的にも精神力の点でも若者顔負けの活力をお持ちの方がいらっしゃる反面、虚弱・病弱に悩まされているお年寄りも多く高齢者に関わる医学的・社会的・経済的問題が増えています。老化は生物の宿命です。しかし、近年の研究によるとそれはかなりの程度遅らせることが可能と考えられています。一方、高齢者を悩ますのは、動脈硬化・糖尿病・老年痴呆・骨粗しょう症・がんなどのいわゆる老化関連疾患とよばれる病態です。
生物学的老化の進行を遅らせることができれば、こうした老化関連疾患の発症も減らすことが出来るはずです。老化関連病態の多くに生物学的老化と生活習慣が関わっています。
私たちは、人々の健康長寿を実現するにはどうしたらいいか、主に実験動物を使って生物学的老化メカニズムや老化介入の研究をしてきました。こうした研究を通じて高齢者に関わる問題が少しでも改善されることを願っています。
健康長寿を目指すこのバーチャルな「老化研究所」では老化や寿命そしてその制御の研究に関する一般的な背景を解説し、私たちの研究および考え方を中心に世界の基礎老化研究者が発表している興味ある知見を紹介したいと思います。 なお、ここで紹介するのは、私の個人的見解であり、したがって当然異なる意見もあることをあらかじめお断りしておきたいと思います。
本文や図表には、出来るだけ引用文献をつけました。一般の方には不要かもしれませんが、読者の中には専門的な知識をお持ちの方もいらっしゃると思いますので、必要に応じて記載内容の確認をしていただくといいと思います。
2009年6月29日
・・・3月は若田光一さんが三カ月の滞在予定で宇宙に飛び立った。 彼が宇宙で過ごしている間にこれを題材に何か書こうかと思っているうちに、地球へ帰還する時が近づいてきた、と思ったら、次のスペースシャトルの打ち上げ延期で帰還はひと月伸びるという。 無重力(正確には微小重力microgravity)の宇宙では筋肉が委縮し骨がもろくなり、老化が促進するようだということは、今ではよく知られている。 若田さんらがこれを防ぐために宇宙船に運動器具を持ち込んで筋トレをしている姿がテレビで放映されていた。。・・・→続きを読む
老年学は学問領域でいうと生物学から医学(歯学)・看護学・心理学・社会学・経済学・法学・工学など非常に幅広い領域をカバーしています。 芸術や文学さらにはスポーツも関係していますから人間活動の大半に関わるといってもいいでしょう。
20年近く前に東京大学出版会から初版が刊行された『新老年学』の第三版が来春の出版予定で準備が進んでいます。 1500ページを超えるこの本は上記学問領域のほとんどに亘り200人以上の研究者が執筆します。 第二版は1999年に出たのでほぼ10年ごとに改版されることになります。・・・→続きを読む(2008年10月16日)